NO15-誰もいないはずの部屋で…

私は霊感などないに等しいのですが、それでもかつて三度ほどいわゆる「金縛り」に遭ったことが、そして、何とも妙な体験を一度だけしたことがあります。その妙な体験についてなんですが…。

ある日、私は自室で本棚を物色していました。家には私一人しかおらず、他の家族はみんな外出しておりました。

その時です。私は、突然誰かに話し掛けられたのです。明らかに、人の声で、耳元と言ってもいいくらいの近距離から。

あんまりびっくりして私は思わず「ぎゃっ」と叫んで部屋から振り向きもせず飛び出し、ダイニングを抜けて玄関近くまで走って逃げてしまいました。しばらくして恐る恐る部屋に戻ってみましたが、当然のようにそこには誰もいませんでした。

あの時、何と話し掛けられたのか、その言葉は覚えていません…。というか、驚きのあまりちゃんと聞くどころではなかったようにも思います。しかし、間違いなく疑問の言葉で、そして、何だかやたら軽い口調でした。ふと何気なく質問してみた、といった感じです。明確ではないですが、割と甲高い男性の声だったと記憶しています。もちろん、知り合いの声ではありませんでした。

ちなみに、私の家はマンションなので、多少は隣人の声―隣のおばちゃんが子供を叱る声等―が聞こえることもありますが、あれは間違いなく、私の立っていた位置から周囲半径1M以内から発せられた声でした…。だからこそ、私は思わず走り出すほどまでにビビッたのです。近所からの声なら、どんな恐いおばちゃんの怒声でも、こんなに驚きはしません。

さらに、私の部屋は本棚以外には机・ベッド(低い)等がありますが、押入れやクローゼットなど、人が潜めるような箇所は一切ありません。

つまり、私のすぐ側の、視界に入らない位置にいつのまにか誰かが、あるいは姿の見えない何者かが立っていて、私に何事か問い掛けたのだとしか思えないのです。もしくは、家族の誰かが私をおどかそうと、センサーで私の動きを感知したら作動する超小型スピーカーを本棚に取り付けていたとか…それこそバカな。

その後、その謎の声は二度と私に語り掛けてくることはありません。もしや、その声の持ち主としては、気軽に話し掛けたつもりだったのに私が何も答えないばかりか、大きな悲鳴を上げて逃げ去ってしまったので、がっかりしてどっか行ってしまったのかもとも思いました。

もし、私と同じような経験をしたという人がいれば、教えていただきたいところです。あるいは万が一「そいつ知ってるよ」という人がいれば、どうかよろしくお伝え下さい。

「でも、二度ともうびっくりさせないでね」とも。

投稿者 キカさん 性別: 秘密 年齢: 128歳 人種: ムムリク

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