NO16-こっくりさん。

あの時は本当にびっくりしました。

今はどうなのかわかりませんが、私が小学生の頃、『こっくりさん』をしたあと占いの紙(文字盤)は破り捨て、同じように使用後の10円は単独で使わねばならない、という決まりになっていました。

ある日の放課後、会談話の流れから女の子3人で『こっくりさん』をやろうということになり、規定の用紙を作ってこっくりさんに呼びかけました。この時はマンガのように誰かがとり憑かれるということもなく、かといって10円玉が動くわけでもなくつまらない結果に終わりました。

私たちは落胆して紙を破り捨て、10円は学校の公衆電話で適当な番号にかけて使ってしまおう、ということにしました。代表で私が適当に番号を押し、いたずらしちゃって悪いなぁ、とは思いながらも「もしもし」という相手の呼びかけに友達とクスクス笑いあいながらガチャリと受話器を置きました。10円は通常、相手が出た時点で本体に取り込まれ戻ってくることはありません。私たちはこれで安心、と思ってホッとしました。

「コツン」

と音がしたのはその時です。

紛れもなく10円玉が戻ってきたときの音なのです。わたしは少し驚きましたが、もしかして時間が短かったのかもしれないと思い、もう一度適当に電話をかけて、今度は相手が切るまで待ちました。しかし、またしても「コツン」と音がして10円玉はしっかり戻ってきたのでした。

わたしたちは怯えた視線を交わしあい、「遊び半分でやったからこっくりさんが怒っているんじゃないか」と青くなりました。

私は慌てて、今度は母親に電話をして事情を話すと、母親は「大丈夫よ、今回は10円玉が切れるまで待ちなさい」と言いました。私は言われたとおりに通話時間が切れるまで待ちました。

しかし「コツン」と乾いた音をたてて、またしても10円玉は戻ってきたのです。

私たちは半泣きになりながら「もう置いて帰ろう」と一度は言いましたが、それでは「10円玉を単独で使う」というルールを破ることになります。ルール違反を恐れた私は、怖いのをグッっと我慢しながら10円玉をつかんで学校の近所の駄菓子屋へ走りこみ、小さなチョコレートと交換に恐ろしい10円玉を押し付けました。

そのチョコレートをどこへやったのかは、どうしても思い出せません。あの10円玉がどこへ行ったのかも、もう知ることはできません。
私が今までで一番「学校の怪談」に近づいたときの話です。

投稿者 いちい ゆうこさん 性別: 女 年齢: 口裂け女の同級生 人種: 学校の怪談の主人公志望

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