NO38-美術準備室の幽霊 |
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私の出身中学は、まったくもって平凡な田舎中学でしたが、一つだけ心霊的な噂がありあした。 「美術準備室に幽霊がでる」 という、いたってありきたりなものでした。 みんな、美術準備室に入って、幽霊が出るか出ないか確かめようとしました。 でも、準備室は普段から鍵がかかっていて入ることが出来ません。職員室に「幽霊がいるかどうか確かめたいから、美術準備室の鍵を貸してくれ」なんて、いえませんしね。うちの中学には文化部は吹奏楽部だけで、美術部は無かったし、授業も浅い内容しかやらなかったので、先生でさえも準備室に入ったことのある人はあまりいませんでした。 私、中学の頃は吹奏楽部でして、楽器ごとに別れて練習するパート練習や個人にそれぞれ場所を確保して練習する個人練習というものがあるんですが、私は個人練習を利用し、美術準備室に潜入しようと試みました。(なにやってんだか…) 鍵を借りる口実は、静かな場所で練習したいが、場所がないので美術準備室を使わせてほしい。でした。先生は、何が置いてあるか分からないから、物に気を付けて使用しなさいと、貸してくれました。 いざ、準備室に入ると、窓は物が変色しないためでしょうか? 暗幕がガムテープできっちり貼られていて、暗幕の虫食いの穴からかすかに光が漏れている…といったかんじでした。空気は乾いてほこりっぽくて、とても練習できるような空間ではありませんでしたが、まぁ本来の目的が幽霊散策なので良いか〜(アホ)とりあえず、何か面白い物は無いか探してみることにしました。 まず、最初にドキッとしたのが、よく分からない怪しい絵でした。卒業生が書いた物らしいのですが、石膏像のスケッチでした。ただ、ふざけて描いたのか、目が赤くぬってありました。びっくりするじゃねぇかこのやろう! 次に見つけたのは、絵画の資料か入っている段ボールでした。 中を見ていくと、有名な画家たちの絵や、説明などがのった本や資料でした。 …なんだ、普通の資料じゃん。と思っていた矢先、段ボールのそこ方でガサガサ音がしたような気がしました。気になって中から資料を持ち上げてみると… 「い゛や゛ぁぁぁぁあああ!!!」 私は寄生のような悲鳴をあげ、出しかけていた資料を放しました。するとグシャっという音がしました…。 私が段ボールの底で見た物…それはおびただしい数のゴキブリでした。 …ショックで死ぬかと思いました。三途の川が見えました(笑) しばらく、段ボールから距離をとって落ち着きを取り戻そうとしていると、奥の石膏像の後ろの方で、木を踏むようなパキパキと音がしました。 私は咄嗟にゴキブリ怖いと判断し、楽器を持って全力で泣きそうになりながら美術準備室を出ました。 今思うと、木を踏みつけるような音をゴキブリは出しませんよね?いったい何だったんでしょうか。 …でも、幽霊よりもゴキブリに危険を感じました。 |
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投稿者 フィリアさん 性別: ? 年齢: ? 人種:?
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